甲状腺疾患とビタミンDの関係
ビタミンDはバセドウ病・甲状腺機能亢進症及び橋本病・甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能低下症(橋本病の疑い、不顕性甲状腺機能低下症)のいずれとも深い関係があることが分かってきています。
甲状腺疾患を発症された方は、甲状腺機能の亢進や低下によってビタミンDを不足しやすくなってしまいます。
甲状腺疾患の方の治療を進める上で、ビタミンDを多く摂取することが特別に有益か否かは、現在のところ明らかではありません。
それはさておき、ビタミンDは全ての方にとって必要な栄養素であることに変わりありませんし、不足している分は補う必要があります。
ビタミンDは秋、冬に不足しやすいという特徴があります。そのために、甲状腺疾患の方は、秋、冬のビタミンD不足には特に注意した方が良いでしょう。
甲状腺疾患におけるビタミンDの役割
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の正常な発育や骨密度の維持に関わっています。
これ以外にもビタミンDには様々な役割がありますが、このカルシウムの吸収を助ける役割は甲状腺疾患の方にとって重要なものです。
なぜなら、カルシウムは、甲状腺機能亢進症・バセドウ病の方、甲状腺機能低下症・橋本病の方にとって強化すべき栄養素の1つだからです。
甲状腺疾患を発症された方は、カルシウム摂取を意識した食生活に加え、カルシウム吸収のためにビタミンDも積極的な摂取が必要です。
ビタミンDは免疫系をサポートする
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けることが第一の働きです。その他にも体内で様々な役割を担っています。
その他のビタミンDの働きは、免疫系、インスリン、血圧の調整や、うつ症状の改善などが確認されています。
<ビタミンDの主な役割まとめ>
- カルシウムの吸収と骨密度の維持
- 免疫系の正常な働きをサポート
- インスリンの正常な働きをサポート
- 血圧の調整をサポート
- うつ病の予防をサポート
このようにビタミンDはカルシウムの吸収から、心のケアまで、多くの役割を担っています。
ビタミンDの摂取方法は?
このようにビタミンDはカルシウムの吸収から、心のケアまで、多くの役割を担っています。
ビタミンDは日光浴をすることで、皮膚上で合成することができます。
それ以外にはビタミンDが含まれる食品から摂取することができます。
秋冬は日照時間が短くなるために、皮膚上での合成量が極端に減ってしまい、ビタミンDが不足しやすくなります。
不足を補うために食事からしっかりとビタミンDを摂取するようにしましょう。
ビタミンD不足のサイン
ビタミンDが不足すると、色々な症状が現れます。
- 気分が落ち込む
- 骨が弱くなる
- 筋力の低下
- 風邪をひきやすく治りにくくなる
このような症状が気になる方はビタミンDが不足しているかもしれません。
甲状腺疾患の方はビタミンDの不足によって、甲状腺疾患の治療そのものにも影響を与える恐れがあります。
バセドウ病、橋本病の方におすすめの食品 <ビタミンDが豊富に含まれる食品例>
ビタミンDは次のような食品に豊富に含まれています。
- サケ
- イワシ
- サンマ
- ブリ
- サバ
- アジ
- 天日干しのキノコ類
など
ビタミンDはサケや青魚に多く含まれています。その他には天日干しにした椎茸やその他の天日干しキノコ類にも含まれています。
ビタミンD摂取法の注意点
ビタミンDは脂溶性ビタミンと呼ばれ、油とあわせることで吸収効率が高まります。
魚には、すでに油脂が含まれていますので、お刺身、焼き魚のいずれにおいても、ビタミンDは体内に吸収されます。
キノコ類を召し上がる際は、炒めものにしたり、ゴマやその他のナッツをかけるなどして、油脂とあわせる工夫をしましょう。酢の物や煮物の場合は、油を用いた料理に添えると良いでしょう。