バセドウ病と体重の増加
バセドウ病と診断を受け、抗甲状腺薬の服薬治療を受けていると、次第に体重が増えていきます。
これに対し、医師から「食事量を控えて下さい」と忠告を受ける方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
これには具体的にどのような意味があるのでしょうか?
具体的な意味を考えずに、ただ食事量を減らすだけでは、かえって身体に大きな負担をかけてしまう恐れがあり危険です。
バセドウ病治療中の食事量は控える?
医師から「食事量を控えて下さい」と忠告を受けた際、実際にどうしたら良いのでしょうか?はじめに、控えるべき食事量について考えてみましょう。
「食事量を控える」とは、第一に甲状腺機能亢進症によって大幅に増加した食事量を、通常の食事量に戻す(控える)ことを意味しています。
バセドウ病の方の中には食欲に任せてたくさん食べることが習慣化してしまい、抗甲状腺薬による内服治療が始まった後も食事量が減らせない方がいらっしゃいます。
また、無意識のうちに食事量が増えている方も多く、意識的に食事量を通常の量に戻すことが必要なのです。
バセドウ病の内服治療は太りやすい?
抗甲状腺薬は甲状腺ホルモンの働きを抑える薬です。そのために、内服を開始すると基礎代謝量が減っていきます。
基礎代謝量が減ると、これに伴ってエネルギー消費量も減っていきます。
それにも関わらず、これまでのようにたくさん食べていると、エネルギーが過剰に供給されることになってしまいます。
エネルギーとして必要とされる以上のカロリーを食事から摂取すれば、体重は増加します。
ここまでは基本的な考え方です。ところが、実際には食事量を減らしても体重の増加が止まらないことがよくあります。
食事を減らしても体重増加が止まらないわけ
食事量を減らしても体重の増加が止まらないことがあります。これには理由がいくつかありますが、主だった理由の1つには治療中の甲状腺ホルモンバランスが関係しています。
バセドウ病の治療の際、抗甲状腺薬の服用によって、甲状腺ホルモン値は低下していきます。
その際、甲状腺ホルモン値は正常の範囲を通り越して、低下することがあります。
また、これに伴って甲状腺ホルモンに命令を出す甲状腺刺激ホルモン(TSH)は正常域よりも上昇することがあります。
つまり、バセドウ病の方も治療中に甲状腺機能低下症の症状が一時的に現れるのです。この際、基礎代謝は通常よりも低くなっています。
基礎代謝が低い時には、エネルギー消費量は減少しています。
エネルギー消費量が減少すると、通常の食事量を食べていてもカロリーオーバーになってしまいます。
体重増加に合わせ食事量は減らすべき?
バセドウ病の方がこれまでのような、たくさんの量の食事をやめ、通常の食事量に減らしたとしても、それでもなお、カロリーオーバーになっている恐れがあるのです。
それでは、通常の食事量よりも、もっと食べる量を減らした方が良いのでしょうか?
これについては、慎重に考える必要があります。
服薬治療中に体重が増えたからといって、食事量をむやみに減らし続けることはとても危険です。
食事量を減らしてばかりいると、今度は栄養不足の恐れが出てきてしまうからです。
バセドウ病の方は、これまでエネルギーを過剰に消費してきたために、すでにいくつかの栄養素が不足している恐れがあります。
そのために、むやみに食事量を減らすことばかりを考えるのではなく、栄養バランス全体を考慮するようにしましょう。