新型コロナウイルス感染症流行中の妊娠や出産への影響について
妊婦や新生児の新型コロナウイルス感染リスクについてご紹介します。
新型コロナウイルスは新しいウイルスであるため、様々な疾患に対する個別のリスク調査はまだまだ少ない状況です。
甲状腺疾患の方の中には妊娠を希望されていたり、妊娠して病院に行った際に甲状腺疾患が見つかった方も多くいらっしゃいます。
甲状腺疾患を発症された方にとっても、新型コロナウイルス感染症流行下での出産や新生児への影響は大きな心配の種の1つではないでしょうか。
今回は甲状腺疾患の方に限定する内容ではありませんが、新型コロナウイルスに感染した妊婦から生まれた新生児の感染症リスクについて、まとめました。
甲状腺疾患を発症された方だけでなく、これから妊娠や出産を予定されている全ての方を対象とした内容です。参考になさって下さい。
新型コロナウイルスの出産への影響に関する調査報告
アメリカやイギリスでは新型コロナウイルスに感染した妊婦が出産した場合の新生児への影響について調査が行われています。
医学雑誌「ザ・ランセット 子供と思春期の健康」の8月号ではこれらに関する最新の報告がありました。
新型コロナウイルス感染妊婦と新生児への影響
イギリスの調査報告によると、新型コロナウイルス感染妊婦1000人を調査した結果、感染した母親からの新生児への感染率は1~2パーセント程度だったとのことです。
このように感染率は非常に低いため、万が一、妊娠中に新型コロナウイルスに感染したとしても、病院で適切な治療を受けている限り、赤ちゃんへの影響はあまり心配しなくて良いとのことです。
新型コロナウイルスと母乳育児
アメリカの調査報告によると、新型コロナウイルスに感染した妊婦が出産後に新生児と同室で過ごした場合、新生児への感染のリスクはほとんどなかったとのことです。
感染した母親が新生児と1日中一緒に過ごしても、新生児の感染リスクは低いのです。
これらの報告によると、母乳からの感染リスクは極めて低いため、母乳育児も問題ないとのことです。
ただし、手洗いをはじめとする適切な感染症対策は重要とのことです。
また、万が一赤ちゃんが新型コロナウイルスに感染しても、重症化するリスクは極めて低いとのことです。
感染症と出産後の注意点
現況での結論によると、母子感染のリスクよりも市中感染のリスクへの警戒が重要とのことです。
出産後に外出する際は人込みを避け、手洗いを徹底する等の感染症対策を十分にとりましょう。
このように、母親が万が一新型コロナウイルスに感染した場合でも、「新生児にうつしてしまうのではないか」と心配する必要なはいことが分かってきています。
ただし、症例自体がまだ少ないため、今後の動きを慎重に見守る必要はあるでしょう。
また、妊娠前・妊娠中・妊娠後の体調管理はお母さんの感染症対策や体力の維持のために大切です。そのために、しっかりと栄養バランスのとれた食生活をおくりましょう。
妊娠を希望されている方、妊娠中の方、出産をされた方は、不要な心配をできるだけ避け、リラックスして過ごしましょう。