バセドウ病と骨粗鬆症のリスクについて
バセドウ病により、甲状腺機能が亢進するとカルシウムの排泄や骨代謝が過剰に進むために、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクが高まります。
骨粗鬆症とは?:
骨粗鬆症とは、骨の代謝が崩れ、骨を形成する速度よりも分解する速度が速くなり、骨がスカスカになった状態のことを言います。
バセドウ病の治療を始める頃には、バセドウ病発症から時間が経過している方もおり、骨粗鬆症のリスクが非常に高まっている方もいます。
また、次のような方は骨粗鬆症のリスクが高い恐れがあります。
骨粗鬆症のリスクが高い方
骨粗鬆症のリスクが高い方:
- バセドウ病を未治療の状態で長く放置した場合
- 体重が極端に減った方
- 体重に関わらず筋肉量が大幅に減った方
- 25歳以上の方
筋肉量が減っている方は骨粗鬆症のリスクが高くなります。
骨量が増えるピーク年齢は20歳頃です。これ以降は骨量が緩やかに減少していくため、20歳以降にバセドウ病を発症した方は骨量の減少が健康な方よりも加速します。
特に、40代を過ぎ、プレ更年期や更年期に差しかかっている方は骨粗鬆症のリスクがさらに高まります。
バセドウ病の内服治療を始めると、次第に体重が増加していきますが、この際に極端な食事制限をすると、骨量が減ったままになってしまうか、さらに減少してしまう恐れがあります。
これまで過食してきた方は食事量を正常な量に戻してあげる必要はありますが、極端に減らすことは骨粗鬆症をはじめ様々な危険を伴いますのですのでやめましょう。
骨粗鬆症予防のための注意事項
骨密度をできるだけ回復させてあげるため、あるいは、現状をできるだけ長く維持するために、カルシウムが含まれる食品をしっかりと摂取しましょう。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける作用がありますので、ビタミンDが含まれる食品もあわせて摂取するようにしましょう。
また、無理なダイエットは骨粗鬆症のリスクをさらに高めてしまいますので、減量をする場合は食事療法と運動を組み合わせて行いましょう。
骨粗鬆症予防のための食事
骨粗鬆症予防のためにカルシウムとビタミンDの食事からの摂取をおすすめします。
カルシウムは乳製品、骨ごと食べられる小魚、小松菜、アーモンド等に多く含まれています。
ビタミンDが豊富な食品は、青魚、キノコ類などです。ビタミンDについては、甲状腺疾患の悪化そのものとの関係も指摘されています。カルシウムと併せ、不足がないように摂取を心がけましょう。
バセドウ病と骨粗鬆症の注意事項まとめ
骨粗鬆症のリスクを高めないために、カルシウムやビタミンDが含まれる食品を摂取しましょう。また、無理なダイエットは絶対にやめましょう。
骨粗鬆症はかなり悪化しない限り自覚症状を伴うことはほとんどありませんので、バセドウ病と診断された方は、ご自身の骨粗鬆症のリスクについて、主治医に確認されることをおすすめします。
また、プレ更年期以降の方は定期的な骨密度検査をおすすめします。
参考文献
Thyroid diseases and bone health. J Endocrinol Invest
Actions. 2018 Jan;41(1):99-109. doi: 10.1007/s40618-017-0753-4.
(いずれも2021年1月6日参照)