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オリーブオイルの抗炎症作用

橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。オリーブオイルに含まれるポリフェノールには抗炎症作用のあることが知られていますが、橋本病・慢性甲状腺炎の炎症にも作用するのでしょうか。 

橋本病の炎症とオリーブオイルの抗炎症作用
橋本病の炎症とオリーブオイルの抗炎症作用

オリーブオイルの抗炎症作用

オリーブオイルにはオリオカンタールというポリフェノールが含まれています。オリオカンタールには抗炎症作用があり、IL-6(インターロイキン6)という炎症物質を抑制する作用が報告されています。

 

この仕組みは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)イブプロフェンである風邪薬や頭痛・生理痛薬等による抗炎症作用に似ています。

橋本病・慢性甲状腺炎の炎症物質

橋本病による慢性甲状腺炎にはサイトカインをはじめとする、さまざまな炎症性物質が関与しています。その中の1つに、今回注目のIL-6が含まれています。

オリオカンタールはIL-6の産生を阻害する

オリオカンタールが豊富なオリーブオイルは習慣的に摂取することで、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の産生を阻害するとされています。 

 

橋本病にはIL-6が関与することがあるため、オリーブオイルを食習慣に取り入れることは体質改善に役立つ可能性があります。

抗炎症作用のあるオリーブオイルの選び方

抗炎症作用が期待できるのはオリオカンタールが豊富な「エクストラバージンオリーブオイル」です。

鮮度の良いうちに使い切ることも大切なポイントです。

オリーブオイルの目安量や使用時の注意事項

オリーブオイルによる抗炎症作用は、内服薬とは異なり非常に穏やかです。あくまで補完的な作用が期待できるものの1つと考えて下さい。

 

また、オリーブオイルも油であることに変わりはありません。過剰摂取は肥満やその他の健康リスクの原因となります。

 

さらに、油をとることで消化不良を起こしやすい方は、オリーブオイル摂取によって不調を悪化させるといった副作用が生じる恐れがあります。

まとめ

橋本病による慢性的な炎症に関与する物質の1つにIL-6があります。オリーブオイルにはIL-6を穏やかに抑制する作用があります。

 

オリーブオイルをとれば橋本病が治るといった過度な期待はできませんが、バランスの良い食事のなかで、まずは1日に大さじ1杯までを目安に取り入れてみてはいかがでしょうか?

参考文献

Ragusa F, Fallahi P, Elia G, et al. Hashimotos' thyroiditis: epidemiology, pathogenesis, clinic, and therapy. Best Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism. 2019;33(6):101367. doi: 10.1016/j.beem.2019.101367

 

Parkinson, L.; Keast, R. Oleocanthal, a Phenolic Derived from Virgin Olive Oil: A Review of the Beneficial Effects on Inflammatory Disease. Int. J. Mol. Sci. 201415, 12323-12334. https://doi.org/10.3390/ijms150712323