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甲状腺ホルモンの働きと食事療法の関係

甲状腺ホルモンの種類や調整の仕組み、甲状腺ホルモンと食事療法の関係について、わかりやすく解説します。

甲状腺ホルモンと働きについて

甲状腺ホルモンは新陳代謝を調整するホルモンです。甲状腺という臓器で作られ、全身の細胞に作用します。

 

甲状腺ホルモンの働きについて具体例をいくつか上げてみましょう。 

  • 熱を産生して体温を維持
  • 生命活動に必要なエネルギーを作り出す
  • 妊娠を成立
  • 成長を促す

生命活動全般の調整に関わり、甲状腺ホルモンは私たちが生きていく上で欠かせない存在です。

 

身近なところでは肌や骨のターンオーバー等も甲状腺ホルモンの影響を受けます。

甲状腺ホルモンの種類

甲状腺では3種類のホルモンが作られています。 

  1. チロキシン(T4/サイロキシン)
  2. トリヨードチロニン(T3/トリヨードサイロキシン)
  3. カルシトシン(カルシトニン)

T4T3は脳の調整を受けています。下のイラストをご覧ください。

甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの働き
甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの働き

首の付け根のハートで示した部分に甲状腺があります。甲状腺は昆虫の蝶々のような、ハートのような形をしています。

 

脳の視床下部では、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が作られています。脳の下垂体では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が作られています。

 

TRHのサインによってTSHが作られ、TSHのサインによって甲状腺で甲状腺ホルモンのT4T3が作られます。T4T3は遊離型のfT4やfT3となって甲状腺ホルモンの作用を発揮します。

 

体内のfT4やfT3の量が増えると、それによってTRHやTSHの量が抑制されます。 TSHからのサインが減るために、甲状腺ホルモンの合成量が減ります。バセドウ病や橋本病では、自己抗体の影響が加わって、このような調整に不具合が生じてしまいます。

 

カルシトシンは血中のカルシウム濃度を調整するホルモンです。

甲状腺ホルモンの働きと食事療法の関係

甲状腺ホルモンは新陳代謝を調整するホルモンだとお伝えしました。ここでもう一つ忘れてはならないことがあります。

 

それは「食事量や栄養バランスは新陳代謝に大きな影響を与える」ということです。

  

食事療法によって食事量や栄養バランスを調整し、それを継続することは、甲状腺ホルモンバランスにも影響を与えます。

 

甲状腺疾患の方も、そうでない方も、食事療法は甲状腺ホルモンのバランスをサポートする上で役立ちます。

バセドウ病や橋本病と食事療法

 治療が必要なバセドウ病や橋本病は、適切な治療に加えた食事療法が甲状腺ホルモンを安定させたり、体調を整える上で大切な役割を担っています。経過観察中の方は食事療法が何よりも大切です。

小食なのに太ってきた、食べる量が変わらないのにやせてきた原因

甲状腺疾患と診断を受けていない方で、「今までと同じ食事量なのに急に太ってきた、痩せてきた」という場合、甲状腺ホルモンバランスに異常がある可能性があります。甲状腺ホルモンの検査を受けましょう。  

 

甲状腺ホルモン値や甲状腺刺激ホルモン値は血液検査によって調べることができます。また、血液検査で甲状腺に関する自己抗体も調べることができます。自己抗体は女性に多い自己免疫性の甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)であるかどうかの診断につながります。

  

甲状腺ホルモンや自己抗体は、一般的な健康診断の血液検査項目には入っていません。調べるためには項目を追加する必要があります。自己免疫性甲状腺疾患の症状がある場合は、甲状腺専門病院や内分泌内科等で検査を受けることができます。

まとめ

甲状腺ホルモンは新陳代謝を調整するホルモンです。甲状腺ホルモンバランスによって体重の増減や肌荒れ、冷え等、さまざまな全身症状があらわれます。

 

甲状腺ホルモンバランスは食生活の影響を受けています。バセドウ病や橋本病をはじめとする甲状腺疾患の方だけでなく、全ての方にとって食事療法は甲状腺ホルモンバランスをサポートする上で役立ちます。

 

食事量が変わらないにも関わらず体重が増えたり減ったりする場合は、念のために甲状腺ホルモンの検査をおすすめします。