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セレンと甲状腺の関係①: 健康を守るための重要なミネラル

セレンは、健康に不可欠な微量ミネラルで、体内で様々な重要な役割を果たします。その中でも特に注目すべきは甲状腺機能に対する影響です。セレンは抗酸化作用を持つ酵素の構成要素であり、細胞を酸化ストレスから守る働きがあります。この抗酸化作用が甲状腺の健康維持にとって、重要な役割を担っています。

甲状腺の機能とセレンの関係

甲状腺は首の付け根にあり、体の代謝を調節する甲状腺ホルモンを生成する小さな臓器です。甲状腺ホルモンは、エネルギーの生成、成長、発達に関与しています。セレンは、甲状腺ホルモンの生成と変換に関与する酵素の活性化に必要不可欠な微量ミネラルです。

グルタチオンペルオキシダーゼと甲状腺

甲状腺ホルモンの生成は、グルタチオンペルオキシダーゼというホルモンによって調整されています。セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素の構成要素です。この酵素は、甲状腺生成の過程で発生する過酸化水素を無害化し、酸化ストレスから細胞を守っています。セレンが不足すると、この酵素の働きが低下し、甲状腺細胞が酸化ストレスにさらされやすく、細胞がダメージを受ける恐れがあります。

セレノプロテインとホルモンの変換

セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼだけでなく、セレノプロテインという一群のタンパク質の構成要素でもあります。これらのタンパク質は、T4(サイロキシン)をT3(トリヨードサイロニン)に変換する役割を担っています。T3は甲状腺ホルモンの活性型で、体内の代謝活動を調節する上で重要です。セレン不足は、この変換プロセスを妨げ、代謝の低下や甲状腺機能低下症を引き起こす可能性があります。

セレン不足と甲状腺疾患

セレン不足は、甲状腺疾患のリスクを高める可能性があります。例えば、セレンが不足すると、甲状腺が適切に機能せず、甲状腺機能低下症や橋本病をはじめとする慢性甲状腺炎などの疾患を引き起こすことがあります。すると、疲労、体重増加、冷え性、脱毛などの症状を伴います。

橋本病とセレン

橋本病は、自己免疫疾患で、甲状腺を攻撃する抗体が生成されることで引き起こされます。研究によると、セレン補充は橋本病の抗体レベルを低下させ、症状の改善に役立つ可能性があるとのことです。

 

セレンだけが橋本病の発症に関わるわけではありませんが、適切なセレン摂取は甲状腺や甲状腺ホルモンに良い影響を与えます。

まとめ

セレンは甲状腺の健康維持において非常に重要な役割を果たしています。抗酸化作用やホルモン変換のサポートを通じて、甲状腺機能を正常に保つためには、適切なセレンの摂取が不可欠です。セレンは栄養バランスの取れた食事を心掛けることで、十分な量を摂取しやすくなります。セレンを十分に摂取することで、甲状腺ホルモンの働きをサポートしたり、甲状腺疾患のリスクを低減し、全体的な健康を維持に役立てていきましょう。

 

セレンはどのような食品に豊富に含まれるのか、摂取時の注意事項と併せ、こちらの記事をご覧ください。

参考文献