ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となる微量ミネラルです。慢性的なヨウ素の過剰及び欠乏は、甲状腺機能を低下させます。
2024年10月11日に厚生労働省より食事摂取基準2025年版の策定検討会報告書が発表されました。 2020年版と2025年版を比較しながら新しいヨウ素の摂取基準についてお伝えします。
食事摂取基準2025年版のヨウ素の推定平均必要量
2020年版と2025年版におけるヨウ素の摂取基準の比較表を作りましたのでご覧下さい。
食事摂取基準2025年版の成人男女におけるヨウ素の推定平均必要量は96.5μgです。
妊娠中及び授乳中はこれに付加量が加わります。
2025年版における妊娠中のヨウ素付加量は75㎍、2025年版における授乳中のヨウ素付加量は100㎍です。
食事摂取基準2025年版のヨウ素推奨量
食事摂取基準2025年版の成人男女におけるヨウ素の推奨量は140μgです。
妊娠中及び授乳中は成人の推奨量に付加量が加わります。
2025年版における妊娠中の付加量は110μg、授乳乳の付加量は140μgです。
食事摂取基準2025年版のヨウ素耐容上限量
食事摂取基準2025年版の成人男女における耐容上限量は3000μgです。
妊娠中及び授乳中は耐容上限量にも注意が必要となり、2025年版の食事摂取基準における耐容上限量は妊娠中、授乳中ともに2000μgです。
2020年版と2025年版の食事摂取基準の比較
2025年版の成人男女におけるヨウ素の推定平均必要量は2020年版の95μg対し、96.5μgとなりました。
2025年版の成人男女におけるヨウ素の推奨量は2020年版の130μgに対し、140μgとなりました。
耐容上限量は2020年版と2025年版の間に変更はありません。
解説
2025年版の食事摂取基準では、推定平均必要量及び推奨量が増えました。これは、ヨウ素をもっとたくさん摂取した方が良いことになったわけではありません。
両年とも同じ根拠資料を使用しているものの、2025年版では、そのうちの調査結果の対象年齢及び平均体重が明らかな資料の数値をもとに計算をしたためです。
また、2020年版ではアメリカ人と日本人のそれぞれの体格によるヨウ素の必要量の差異を考慮しつつも、異なるヨウ素摂取源によるヨウ素吸収効率の差によって相殺されるとして、アメリカの調査結果の平均値を日本人の推定平均必要量に適用していました。
2025年版では根拠資料中のアメリカ人平均体重をもとに、日本人の性別年齢別参照体重を考慮し、算定されました。
まとめ
日本人の食事摂取基準2025年版におけるヨウ素の摂取基準について、2020年版から推定平均必要量及び推奨量が変更されました。これは算出法の違いによるもので、実際にヨウ素の摂取量を増やした方が良いわけではありません。