
コーヒーは多くの人にとって日常的な飲み物ですが、バセドウ病・甲状腺機能亢進症の方にとっては注意が必要です。甲状腺ホルモンが過剰になると、代謝が活発になり、心拍数の増加や不安感、手の震え、体温の上昇などの症状が現れることがあります。こうした症状がある方にとって、カフェインの刺激は負担になる可能性があります。
コーヒーが影響を与える可能性のある症状
心拍数の上昇・動悸
カフェインは交感神経を刺激し、心拍数を上げる作用があります。甲状腺ホルモンが過剰な状態ではもともと心拍数が速くなりやすいため、コーヒーを飲むことで動悸が強くなることがあります。
不安感や神経過敏の悪化
甲状腺ホルモンの過剰分泌は、精神面にも影響を与えることがあります。甲状腺機能が亢進することで、不眠や神経過敏の症状に悩まされる方もいるでしょう。
カフェインは脳を覚醒させるため、不安感やイライラといった症状を増幅させてしまう恐れがあります。特に体調が悪い時にはカフェインを控えめにするのが賢明です。
手の震えの悪化
バセドウ病の症状のひとつに「手の震え(振戦)」があります。カフェインには筋肉の興奮を促す作用があり、すでに震えがある場合、それを悪化させる可能性があります。
体調が悪い時にはコーヒーの飲み過ぎに注意
体調がすぐれないときは、コーヒーを控えめにし、デカフェ(カフェインレス)コーヒーやハーブティーに切り替えるのも選択肢のひとつです。
また、カフェインの添加された、いわゆるエナジードリンクなどの飲料には、コーヒーよりも多くのカフェインが含まれていることがありますので、控えましょう。
動悸が強い、寝つきが悪い、ストレスを強く感じるといった場合は、コーヒーの量を調整することで症状の軽減につながることがあります。
また、コーヒーには鉄分の吸収を阻害する作用があるため、貧血気味の方は食事と一緒に飲むのを避けるのが理想的です。
まとめ
バセドウ病や甲状腺機能亢進症の方は、カフェインの影響を受けやすいため、心拍数や不安感、イライラの増加、手の震えの悪化に注意する必要があります。特に体調が優れない時は、カフェインの摂取を控えめにし、体への負担を減らす工夫をしましょう。
参考文献
NIH,「Tremor」.
https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/tremor