
バセドウ病は、甲状腺の異常な活性化によって引き起こされる自己免疫疾患です。この病気に関連する症状は多岐にわたりますが、その中でも多くの患者が「日中の眠気」に悩まされています。なぜバセドウ病では日中に眠気を感じるのでしょうか?その原因と対策を深掘りしていきます。
バセドウ病の交感神経過剰活性が引き起こす眠気
バセドウ病では代謝が亢進しており、これは交感神経の働きを増強します。交感神経は、体を「戦闘または逃避」モードに切り替える役割があり、通常は覚醒状態を促進します。しかし、バセドウ病では、交感神経が過剰に活性化され、体が「24時間マラソン」をしているかのような状態に。これにより、体が疲れ切り、最終的には日中の眠気が増すことがあります。
睡眠障害とその影響
交感神経が過剰に活性化されることにより、睡眠の質が低下することがあります。バセドウ病の方は、夜間に良質な睡眠をとることが難しく、結果として日中の眠気に繋がる場合があります。十分な睡眠が取れないと、日中の集中力が低下し、眠気を感じやすくなります。
反応性低血糖: 食後の血糖値変動が眠気を引き起こす
バセドウ病では代謝が亢進しているため、食事からの糖分吸収が早くなり、食欲も異常に亢進することがあります。この結果、食後に急激な血糖値の上昇とその後の急激な低下が生じ、「反応性低血糖」と呼ばれる状態に。低血糖症状として眠気やだるさ、集中力の低下が現れ、これも日中の眠気を引き起こす一因となります。
バセドウ病による日中の眠気を軽減するための対策
対策① バセドウ病の治療を受ける
バセドウ病の治療を通じて、甲状腺ホルモンの正常化を図り、交感神経の過剰な活性化を抑えることが、眠気の改善に繋がる可能性があります。睡眠障害が深刻な場合は、医師に相談し、睡眠改善のための治療を併せて受けることが有効です。
対策② 生活の質を改善するための休養
バセドウ病は安静時でも代謝が活発であるため、無理な運動や過度な活動は避けることが重要です。過剰な活動は、さらに代謝を高め、疲労感を増加させる可能性があります。まずは、休養を優先し、睡眠の質を改善することが重要です。
対策③ 食生活の見直しと血糖値の管理
バセドウ病の方にとって、食事のタイミングや栄養バランスは非常に重要です。特に、血糖値の急激な変動を避けるために、低GI食品(全粒穀類など)を積極的に取り入れ、砂糖を多く含む飲み物やスイーツは控えましょう。こうした食事内容が、反応性低血糖を防ぎ、眠気を軽減する助けとなります。
対策④ 血糖値の異常に対する医師のサポート
血糖値に異常を感じた場合は、専門医に相談し、症状に応じて必要な治療を受けましょう。
まとめ
バセドウ病に伴う日中の眠気は、交感神経の過剰活性化や反応性低血糖が関与していることがあります。これを管理するためには、適切な治療を受けることに加えて、休養をしっかりとり、食生活を見直すことが重要です。個々の症状に合わせた治療と生活習慣の改善を行うことで、眠気を軽減し、より快適な生活を送ることができるでしょう。
参考文献
Duntas LH, Orgiazzi J, Brabant G. The interface between thyroid and diabetes mellitus. Clin Endocrinol (Oxf). 2011 Jul;75(1):1-9. doi: 10.1111/j.1365-2265.2011.04029.x.